No.156 [のどかだ…木漏れ日とそよ風]
2010年8月号



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 【ひねくれコラム】NO・156
 〈のどかだ…木漏れ日とそよ風〉

▼暑い夏がやってきた。サンマルコ広場も真っ赤な太陽が燃えている
だろう。ナポレオンがこう云った。「世界で最も美しい広場だ」と。
ヨーロッパで一番最初に出来たカフェ(オープンカフェ)。燦々(さん
さん)と照りつける陽の光の下で飲む、濃い目の「エスプレッソ」はま
た格別なもの。
▼過去に訪れたイギリスのロンドン、フランスのリヨン、イタリアの
フィレンツェのオープンカフェで飲むエスプレッソとまた違った趣(お
もむき)がある。朝食後に小さなカップで二呼吸も置かず飲む様は正に
絵になる。【エスプレッソ】*ごく細かく挽いた深炒りのコーヒー豆
に圧搾蒸気を通して一気にいれた濃いコーヒー。
▼そう、そこはベニス(ベネチァ)。TVの中での旅。久し振りに観
た。N※K金曜日夜一〇時〜一〇時四十五分まで。テーマは『世界ふ
れあい街歩き』。軽やかなバックグランドミュージックが番組を優雅
に仕上げる。女性のナレーター(語り手)の声だけが聴こえる。画面
に出ないカメラが人の目線で、その街の喧騒(けんそう)と人々を追う。
過去に放映されたニューヨーク、パリ、ソフィア等の路地裏の様相が
脳裏を過(よ)ぎる。
▼そして市民のありのままの生活を追う。ベネチァの朝の九時、裏通
りの商店街。プ〜ンと焼き立てのかぐわしいパンの芳香が漂う。出勤
途中に立ち寄り、口にほお張る市民の微笑ましい光景。話に夢中にな
り、時を忘れあわてて走り出す女性。

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▼カメラは朝のすがすがしい空気に触れ、裏路地を追う。門扉の上に
大きな口をあけた小さなライオンの彫刻。道行く人に尋ねると、人生
を刻んだ年配のお母さんが「ナポレオン時代のものよ。攻め込まれな
いようにと、おまじないもかねての彫刻よ」と気軽に応える。三軒先
ではトンカチの音。ひげ面で恰幅のある人の良さそうな大将が工房で
息子と二人でカンコンカン。空には太陽がいっぱい―。
▼カメラは裏小路を行く。時は昼。緑眩しい公園に出た。白い毛並み
のワンちゃんが一匹、うまそうに水道の蛇口からしたたる水を飲んで
いる。白いベンチでは木漏れ日の下、年配のおじさんがのんびりとサ
ンドウィッチを食べている。「おじさん、お昼ですか?」とやさしい
声のナレーター。「お昼じゃ。妻が作ってくれたんだ。君も食べるか
い?」と人懐っこい笑顔で答える。
▼おだやかだ…、のどかだ…。人とのふれあい、街とのふれあい、自
然とのふれあい、そして絵になる路地裏。全編に流れる軽やかな旋律
が心を和ませる。もうすぐ夕陽がサンマルコ広場に落ちていく―。午
後6時半。夕闇せまるリアルト橋〔船着場〕の空がきれい。そよ風と
ともに、夜景の光に映し出される情景にしばし時を忘れる…。
※ここ近々の、この「ひねくれコラム」はやれ核だ、半島有事だ、鉄
砲だ―と、殺伐とした記事が続いた。たまには、のんびりと心落ち着
く文章を書かないと心が荒(すさ)む。木々の揺れがかもし出す調和に
心をあずけてはいかがかな、諸君―。          ―夢追人―

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―編集後記―
 梅雨が明けた7月某日の土曜日。外は灼熱の太陽
が容赦なく照り続ける昼下がり。天の川の交差点
(といっても誰も解らないが…)の手前の長い土手
を歩く。汗をかくかな?と思ったが、そうでもない。
あたり一面、風をさえぎる大きな建物はない。
 左手に見える小学校の校庭では野球の練習中。大
きな声が響き渡る。眼下に見える川に沿って歩く。
左手は青々とした田んぼ。いずれは大きな稲穂とし
て君臨する。涼しい風が吹き付ける。
 30分ほど歩いただろうか、少年たちが川遊び。
川の深さは膝小僧ぐらい。それでも元気よく水の中
を飛び跳ねている。しばしたたずみ、見続けると、
やはり過去の情景が去来した。
 山があり、川があり、池があり、田んぼや畑しか
ない環境では何をする? 少年たちは自然を友にし、
自然と接触する。そして自然とともに創意工夫する。
 やはり心が安らいだ。そうこうしている内に時は
過ぎ、一時間の行程を歩いた。煙草を買うためにわ
ざわざ遠回りして―。         ―T・K―

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